



そのキャリアの最初期を未来派として出発しながらも、機械を自律的には「役に立たない」存在として笑いのめし、本来平面上の表現メディアであった絵本に奥行きの概念を与え、ダネーゼ社で数々の名作プロダクトをデザイン、当時最先端の技術であったゼロックスをその表現手法にいち早く取り入れたり、実験映像を制作したり、一方で子ども達を対象にしたワークショップに熱心に取り組むなど、ジャンルの枠におさまらぬ足跡を遺したイタリアの巨人、ブルーノ・ムナーリ。アウトプットとして完成した作品ではなく、その過程にこそ本質を見出し、すべてのクリエイティブの源泉「ファンタジア」の論理化に取り組んだ巨人。その魅力は奥深く、一言では語りつくせぬののがあります。本書はその活動を俯瞰的に、かつ貴重な図版満載でとりあげた入門編として最適な一冊。2007年から翌年にかけて各地で開催された、「生誕100年記念 ブルーノムナーリ展 あの手この手」にあわせて刊行された展覧会図録。ブックデザインはムナーリの後継者に一人である駒形克己によるもの。