著者：石森章太郎 / 出版社：小学館 / 文庫判 / 366P / ソフトカバー / 1982年発行 セリフを極限まで廃し、あらゆるコマ割りの技法を駆使、シュールレアリスム、サイケデリックとあらゆる技法を盛り込んで描かれた、「ポエムコミック」なる実験的意欲作。『COM』連載時、手塚治虫が嫉妬し、石森章太郎に対し面と向かって否定したという逸話も残るほど。漫画家を目指す青年の心象風景をそのまま漫画にしてしまった、という設定は、フェリーニの「8 1/2」をも連想させます。絵の魅力が損なわれると、著者自身文庫化に二の足を踏んでいたが、中原中也や、ヴェルレーヌの文庫版詩集を愛読した記憶が背中を押したという。コンパクトにその作品世界が堪能できる一冊です。カバーに薄汚れ、本体中面には特に目立ったダメージなく良い状態です。