著者:中ザワヒデキ / 発行:トムズボックス / 105mm × 150mm / 42P / ソフトカバー
「そもそも”歴史”とは何かと言いますと、それは過去の事実を受動的に記述する行為のことを指すのではなく、現在の目を持って、過去の本質を能動的に読み取る行為のことをいう筈です」(序文より)
印象派に始まり、「ダダ」やジャスパー・ジョーンズを経由して、ヘタうまイラストレーションへとたどり着く。美術家からイラストレーターへの転換期であった当時の著者の立場と視点を反映した、非常にわかりやすく、かつオリジナルな美術の歴史。活字を使用せず、一切のテキストと図版を全て著者の手描きで表現するという異色のスタイルで、ジェフ・クーンから湯村輝彦までが俎上に載せられています。フォンタナの「空間概念」を紹介する図版が、作品同様切り目が入っているあたり感動的。世界一コンパクトでわかりやすい、そんな近代美術史です。ISBNが付与されていないリトルプレスという体裁ながらも、1989年の初版から現在まで版を重ね続ける発行元トムズボックスの姿勢も素晴らしい。