著者:柿内正午 / 出版社:H.A.B / 130mm × 190mm / 766P / ソフトカバー
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、ジェームス・ジョイスの『ユリシーズ』、そしてマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』などなど、読書家を自認する上で避けては通れない大作の数々。検索すれば「答え」を得ることができ、毎時更新される情報にさらされる細切れの時間でできた21世紀を生きるわれわれにとって、それら大作を読む意義とは何でしょうか。「プルーストを読んでいると楽しいのです」と本書の著者は言いきります。意義や目的ではなく、細切れの時間からドロップ・アウトし、フィクショナルな世界にどっぷりと見を浸すことそのものが快楽であり贅沢だという読書の本質を体現せんと、700ページ超をも費やしてしまった、これまた贅沢な読み物。
2018年11月からの約2年間、仕事や通勤や生活や忘年会や併読の中で続く読書日記。本書中の書物索引や、挟み込みの雑多な読書案内、『百年の孤独を代わりに読む』の著者友田とんによる巻末解説と、分厚いだけでなくサービス精神旺盛な編集。盆正月の休みにじっくりとどうぞ。