
編者:安藤美冬 / 発行:しろうべえ書房 / 145mm × 210mm / 108P / ソフトカバー
「観光客がいなくなって、京都の人がやっと元からあった自分たちの暮らしを取り戻してきた。そういう時だからこそ、町中華が見直されてきているのかな」(編集後記より)
「京都の中華」ではなく「京都の町中華」を掘り下げんと、圧倒的な熱量で大風呂敷を広げ話題を読んだ創刊号に続く待望の新刊は「室町浪漫篇」。
誤解されがちな「京風中華」と、本書が探求する「京都の町中華」との違いを言語化せんと「ちゃんぽん」に着目し15ページにわたって掘り下げた巻頭記事は、本シリーズのレゾンデートルをあらためて叫ぶ熱量の高い記事。さらには前号の西陣に引き続き、今号ではオフィス街近くながらも「味覇カー」が行き来する室町エリアを特集。創刊号では巻頭に配され読者の度肝を抜いた、セリフなし、店内の空気感を描写したアンビエント中華漫画は二条通りの「むろまち」。
ガイドブックではなく、今和次郎の仕事にも通ずる考現学。これを持って巡るのではなく、読んだ人それぞれが地元の「こういう店」を顧みるきっかけになれば。