著者:猪谷六合雄 / 出版社:Kanoa / 139mm × 194mm / 560P / ハードカバー
「私たち素人は、必要をこえたものは作らないという考えを持つことが肝要だと思う。ある場所で、あるものが必要で、それをこしらえると非常にいい感じが出ても、ほかの場所で、必要でないのに同じようなものをこしらえても、ちっとも調和しないことがある」
栗の木の板を削りスキー板をこしらえることをきっかけにスキーに没頭。なんとシャンツェ(ジャンプ台)まで手作りし、見様見真似で練習を重ねては日本各地を転々と滑り歩き、移住を繰りかえす。ゲレンデのすぐ側にで暮らすために、セルフビルドでいくつもの住まいをつくり、熱い靴下の編み図をほぼ独学で作成する。戦中に刊行され、のちに岩波少年文庫化、読みつがれることになった手作りの暮らしの記録が美しい上製本となって復刊されました。思想ではなく、必要と好奇心から、消費からのドロップアウトを実践した先駆者の清々しい筆致をお楽しみください。