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編著:高田マル / 出版社:絵画検討社 / 107mm × 175mm / 939P / ソフトカバー
「絵を描く人より、絵を買う人より、絵を見る人のほうが圧倒的に多いはずだ。絵を描くという行為の川下には、絵を見るという行為がある。わたし自身も、自ら絵を描いたあとにはその絵を見るように、人と絵の関係の半分は絵を見るという行為によってかたちづくられている。そんな当然のことに気がついたのは、苛烈にひとりぼっちになったコロナ禍だった」
画家である著者が一年をかけ、54人に聞いた「忘れられない絵の話」。幼少期に事典で見たヒエロニムス・ボス、小学校の壁面に描かれていた誰のものだかわからない絵、挿絵で出会ったビアズリー。大勢のおぼろげな記憶の中から、権威化された「絵画」以前の「絵」を前にしたごく私的な心の動きを掬い出す試み。図版を一切掲載せず、それぞれが観た絵そのものではなく、絵が与えた心のさざなみを読者が体感する一冊です。