著者:植本一子 滝口悠生 / 自費出版 / 128mm × 188mm / 161P / ソフトカバー
「感情は形のないものだから、僕が思う「さびしさ」と一子さんの「さびしさ」はもちろん同じじゃなくて、こうして考えていると自分はほかのひとが「さびしさ」と呼んでいるものを「さびしさ」ではなく「かなしみ」と呼んでいるのではないか、と思えてきたりもしました」(本文・滝口より)
2021年11月21日から2022年4月20日まで繰り広げられた写真家・植本一子と小説家・滝口悠生による往復書簡。
手紙という極めて生活に近いこの記録は、植本一子の提案から始まりました。天気や気候のこと、それぞれの子どもの近況や、自分が子どもだった頃の話などが中心。往復するうちに話が膨らんだり、落ち着いたり、相手に話すようでいて自分のために書き留めておくような言葉で時間が進んでいき、自分の子どもを考えると同時に、自分と親との関係性を改めて考える。また、相手の話に応えながらも、少しずつ論点が外れていくことでお互いに新しい発見がある。その瞬間瞬間がむき出しに記された本書の言葉は、私たち読者にも鮮やかに、どこか懐かしく響きます。