写真:小見山峻 / テキスト:有泉智子(MUSICA編集長、音楽ジャーナリスト)、吉田圭佑(KEISUKEYOSHIDA デザイナー) / 音楽:Taihei Sakurauchi / 発行所:PINHOLE BOOKS / A5判 / 216ページ / ハードカバー
「踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。そして天国にも届くよう願いを込めて」
前作『Hemoglobin』から4年ぶりに刊行された小見山峻による写真集は、“迷う”ことをテーマに、バイクに取り付けた方位磁針だけを頼りにして横浜から札幌まで向かったロードトリップの「記録」。流れゆく人々が醸し出す空気もろとも切り取ったかのような匿名的な道路や田舎道、哀愁たっぷりにウッドデッキで抱き合う男女、階段によってステージのように目立つ公衆電話、幾何学的に並んだ人工物など、日常にありふれた被写体がこんなに新鮮で美しく見えるのは、迷うからこそ持ちえた世界へのピュアな反応で撮られたものだからでしょう。路上観察学的なユーモラスな側面も顔を覗かせる、作家の新境地を示す一冊です。Suchmosや賽で鍵盤奏者として活動するTAIHEIによる書下ろし楽曲もQRコードで収録。限定1,000部。