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出版社:青土社 / 145mm × 221mm / 260P / ソフトカバー
過去に一世を風靡した奇書は、果たして現代でも奇書といえるのか。本当に読めないものは「本当に」書けるのか。
小説を書く道具によって文学はどのように変わってきたのか、など様々な定義の「奇書」をめぐってジャンル横断的に論じた、円城塔と酉島伝法の対談「奇書は(人間にしか)書けない」、『デカメロン』『露西亜大革命史』などの翻訳の刊行により発禁の連続となった一方で、『変態十二史』シリーズなど若かりし平野謙や江戸川乱歩、埴谷雄高ら会員読者を魅了してやまなかった東京市牛込区の「奇書研究会」の仕事の再考「「奇書」だけが癒す渇きー戦前昭和における”変態趣味の大家”と」、言わずと知れた奇書の版元、国書刊行会の海外文学と奇書の二本柱のシステムの有用性を明らかにし、「奇書」という言葉を使わなくとも、「奇書的」に本を評価する現代の特徴をあげた上で文学フリマの機能を論じた「特殊版元探訪ー事例・国書刊行会のエコシステム」など。奇書の世界をたっぷりと堪能できる一冊。