
著者:蟹の親子 / 出版社:百万年書房 / 四六判 / 232P / ソフトカバー
「もっとひとりの身体でいよう。何にも当てはまらない私に水をやろう。断片的な記憶を掘って〈たね〉を見つけることから始まっていくのかもしれない。それは、とるに足らないどうでもいいことであればあるほど良い」(本文より)
当店ではすっかりお馴染み百万年書房「暮らしレーベル」の第5弾。子どもの頃から生きづらかった著者が、自分の過去を思い出しながら、当時の憤りや困惑を解消するのではなく、言葉にすることで自分自身だけの肯定の仕方を模索していく。思い出すだけで匂いすらも立ち上がってくるような当時の日記、カウンセリングで目にした細かすぎる記憶などを、引きずるようにして今の自分に手繰り寄せる。意図せずに目の当たりにした些細な何かに確かに影響され、突然傷つけられてきた過去から這い上がる力強さに胸を打たれる一冊。