



写真:石間秀耶 / 編集・発行:Chuchichäschtli / B5変型判 / 105P(写真)+133P(寄稿文) / ペーパーファスナー綴じ
東京、尾道、広島、博多、京都の5か所で行なった巡回展の各会場で順番に頁が追加される構造を取り、最終的にはいつのまにか写真も増加、それらを手製本でまとめあげた、写真家の石間秀耶×京都のレーベルChuchichäschtliによるアートブックがついに完成。
写真のモチーフはズバリ、団地。写真家はこの撮影を、静岡の団地で過ごした自身の記憶を再構成するセルフポートレートとして位置付けました。それを受けた編集陣は、アノニマスな空間である団地がリアルな個人的記憶を呼び起こすという対比構造に注目し、数か所の団地の光景を収めたモノクロ写真(リソグラフ)、論考、団地を巡る計19人60エピソードの個人史という3段構えの構成を提出。この編集方針には、作家名と作品名をUntitledの語彙で包摂したタイトルが示すように、現代芸術のなかでも特にシミュレーショニズムからの影響が感じられます。また、結果的に、岸政彦ワークにも通ずる読みものの要素も強い一冊に。大文字の団地のイメージが増幅、反響し、読者に迫る様子をぜひお楽しみください。