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著者:川上幸之介 / 出版社:書肆侃侃房 / 四六判 / 384P / ハードカバー
パンクという概念を、音楽の一ジャンルとしてではなく、抵抗の一手段として系譜学的に読み解く一冊。アナキズム思想にそのスピリットの源流を求め、音楽性のルーツを奴隷制から生まれたブルース、労働者運動家たちが変革したフォークミュージックにまで遡り、当時のロンドンのアートスクールのあり方など社会的背景から、パンクミュージックを再解釈する刺激的な試み。オリジナルパンクのルーツを解明するだけでなく、クィアコアやアジアのパンクシーンなど、その後の遺伝子もしっかりフォロー。
騒音、反抗、スリーコードという単純なパブリックイメージを剥ぎ取り、ポップスとしてパンクに触れてきたリスナーはその聴こえ方が変わり、カウンターカルチャーに関心の深い読者には、あらためてパンクミュージックと出会わせてくれる、とにかく面白い一冊。