new
著者:菅野康晴 / 発行:新潮社青花の会刊 /A5判 / 136P / 上製本
2000年代は「生活工芸」と「古道具」の時代でした。前者の代表が木工家の三谷龍二さんで、後者は古道具坂田の坂田和實さんです(当人はそう思っていないかもしれませんが)。「生活工芸」も「古道具」も、既存の権威にたいする抵抗、挑戦という側面がありました。その構図は明快で、しかも奏功します。そういう時代がきていた、ということだったのだろうと思います。いまはあのころのような構図のわかりやすさはうしなわれている気がします。2000年代と2010年代以降をくらべて、決定的な差は、SNSの普及と出版業の衰退でしょう。構図の消失、もしくは氾濫。本書におさめた文章の多くは、2010年代以後に、2000年代を回顧したものです。挑戦者が挑戦される側に、あえていえば弱者が勝者になったあとで、その成果の中身を考えようとしたものです。(「あとがき」より)
目次|
1
ふたつの工芸
生活工芸の「ふつう」
三谷さんと生活工芸の四〇年
台北で気づいたこと
年表「生活工芸」の時代
2
坂田さんの仕事
拙をめぐって 路花さんの書
タパの話
3
古道具坂田と生活工芸派
編集した本
劉檸さんとの対話
あとがき