




著者:いしいしんじ / 出版社:港の人 / A5変型 / 36P / 折りたたみ変型封筒入り中綴じ本
「うつわの、うつ、ってさ、『虚ろ』のうつと通じてるんだぜ。つまりは、からっぽ、ってことなんだ」
作家・いしいしんじが「うつわ」をテーマに書く「うつわ小説」シリーズの一作目。
牧野マキ先輩がアンデス高原に行く一年間、留守を預かることになったアユコ。一年間からっぽの家はいやだ、と言う先輩から預かった家で、たくさんの食器と植物、そして転がり込んできた弟・ソウとの暮らしが始まる。アユコとソウは、色とりどりの食材を盛った「うつわ」で食事をとり、「うつわ」に注いだ水で自らのどと植物を潤し、家という「うつわ」で暮らす。生き物もまた、いのちを乗せた「うつわ」である、ということを知る物語。
本書は鎌倉のうつわギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」プロデュースによるもの。発行はおなじく鎌倉の出版社・港の人より。それ自体テキストを印字した、折りたたんだ紙で包まれ、シール留された装丁にも「うつわ」を感じられます。