著者：ウォーレン・エリス / 出版社：2nd LAP / 165mm × 210mm / 245P / ハードカバー ニック・ケイヴ & ザ・バッドシーズのメンバーとして知られるヴァイオリニストでありマルチ・プレイヤー、ウォーレン・エリス。1999年、彼がディレクターを務めたフェスティヴァルにニーナ・シモンが出演した際、演奏の冒頭で彼女がピアノに貼り付けた噛みかけのガムを、終演後「確保」し帰ったことからこの物語は始まります。さまざまなモノに記憶やアウラを読み取り、スーツケースに補完しては持ち歩く、断捨離の真逆を行く彼は、その後10年以上にわたり「ニーナのガム」を飾ったり閉まったりして大切に補完してきました。ニック・ケイヴのドキュメンタリー「2000デイズ・オン・アース」で、その話をニックとしたところが撮影され、少しずつ物語は展開し、コペンハーゲンでのニック・ケイヴの展示に、ガムを鋳物のレプリカにしたものが出展、さらにはベルギーのデザイナー、アン・ドゥムルメステールがガムをシルバーのリングとして製品化、ニーナの娘との対談や本書の出版自体に繋がります。クラウド時代に物質の持つ引力を礼賛する、図版やメッセージのやり取りなどを織り交ぜたナラティブもユニークな一冊。