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著者:ジョー・サッコ / 出版社:Type Slowly / 182mm × 242mm / 432P / ソフトカバー
1956年、ガザ地区ハーンユーニスとラファハで二度にわたり起こった、イスラエル兵士によるパレスチナ民間人虐殺事件。2001年の春、『ハーパース』誌の取材のためジャーナリストとともにパレスチナを訪れたジョー・サッコは、チョムスキーの著作で知った同事件に関心を持ち、当時を知る人々に取材。その声を数段記事に盛り込んだ所、なぜかその部分はまるごとカットされてしまっという。
その後二度にわたりガザを訪れ、当時の記憶を持つ人々に取材する過程を描き、2009年に刊行されたコミック・ジャーナリズムの傑作が待望の翻訳刊行。今なお続く民衆蜂起と殲滅戦争、パレスチナ/イスラエル史の大きなうねりに飲み込まれ、忘れ去られつつある残虐な出来事、つまり歴史の脚注に耳を傾け、掘り起こすことで、現在の出来事がよりクリアに、実感をもって見直されるであろう労作。50年代と、取材当時、作者が観た景色と語り手たちの記憶が見事に重なり合う映画的な手法も素晴らしい。