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編集:辻本達也 / 出版社:松谷書房 / A5判 / 92P / ソフトカバー
「心細かった。いまからおれは池袋の路上で人の数をかぞえようとしている。街は日曜なりにそこそこ賑わっている。すわれそうな場所を探し歩くけれど、どこにすわっても白い目で見られる気がした」
2021年、3度めの緊急事態宣言がスタートした日から7日間と2023年のある7日間、編者自ら池袋の路上に椅子を置き、カウント調査を実施。調査といってもそこに目的はなく、思いつきで数える対象を変える。誰のためでもなく六連式のカウンターに重ねられる数字。そこから見えてきた、街と、人と、自分についての「調査日誌」。はじめは椅子を出して座ることすら心細く、居心地の悪い場所だった路上も、5日目にもなると少しの抵抗もなくなる。こうした自分自身の変化、通行人の特徴など表面的な事実から思考を巡らせることの面白さが手書きの文字からダイレクトに伝わってきます。
そのほか、占い師による宮本常一『忘れられた日本人』らを引用した「占いコラム」や、マンガの連載、路上観察学者・林丈二による「絵巻物」も掲載。