
著者:阿部大樹 / 発行:作品社 / 四六判 / 176P / ソフトカバー
「指差しながら「わんわん」と言っている。色も形も違う犬たちが全部「わんわん」なのはやはり不思議だ」(本文より)
精神科医、翻訳家である著者が一人の親として子との三人暮らしを綴った日記。子どもと暮らす中で起こるささいなきっかけで、日常の生活が一時停止させられる、そんな瞬間から開いていく思考の軌跡をまとめた一冊です。
ちょっと固い「不存在と時間」「エディプス」「抽象から具体へ」、はたまた「変装する」「柏木由紀さん」など、つけられたタイトルは目次にしかなく、本文を読んでから改めてタイトルを見ると、著者の思考から選ばれた語彙の冷静さや突拍子もなさのギャップが面白い。